対象疾患と治療

顎変形症

顎変形症(がくへんけいしょう)とは、

  • 上下のあごの骨が前後的に大きくずれている(上顎前突、下顎前突)
  • 正面から見てあごの骨のずれのために顔面が非対称にみえる(顔面非対称)
  • あごの骨が上下的に大きくずれており上下の前歯がかんでいない(骨格性開咬)
など、お口の中の歯の矯正治療だけではよいかみ合わせが獲得できず、外科手術(顎の骨を切断して骨の位置を変える手術)と矯正治療を併用して治療する必要がある場合のことです。
当院で顎変形症と診断されて、外科的矯正治療を行う場合、入院・手術の費用は全て健康保険が適用になります。手術前後の矯正治療も健康保険の適用になります。

疾患の特徴

あごの骨の形はかみ合わせと顔貌に大きな影響を与えるため、顎変形症は、食べ物をかむという機能のみならず、顔貌による心理的影響にも配慮された治療を受ける必要があります。
顎変形症の治療は、外科手術(あごの骨を切断して骨の位置を変える手術)と矯正治療を併用して治療する、いわゆる外科的矯正治療(顎矯正治療)が必要で、それぞれのスペシャリストの連携が重要です。
あごの骨は、思春期に成長しておおきく変化するため、治療の開始は原則的に成長終了が明らかになった時になります。

治療方針

必要な検査の後に、矯正歯科、顎口腔外科、顔面口腔外科などの専門家が定期的なデンタル・マキシロフェイシャルセンターカンファレンスを通じて十分に討議し、綿密な治療計画を作成します。
治療計画では、主に、上あごの骨、下あごの骨、上下両方の顎の骨のどこを手術するのが最良か検討します。
また、先進的な取り組みとして、平成26年4月に保険導入された矯正用インプラントアンカーを積極的に活用し、より確実で理想的な治療ゴールを達成できるよう治療方針を立案します。
最終的に、調和のとれた顔貌の獲得と、自分の歯を使って良くかめるようにすることが目標です。

治療内容

顎変形症の診断のために、まずは顔貌の分析、X線写真撮影(CTを含む)、顎の関節のMRI撮影、歯列模型(歯型)作成を行います。

診断、治療計画作成後、治療方針にしたがって歯の移動を開始しますが、必要に応じて手術の妨げになる親知らず(智歯)の抜歯を行います。また、矯正治療に必要な歯の抜歯や、矯正用インプラントアンカー植立を行うこともあります。

矯正装置を装着した後は、手術後に最もよい噛み合わせになるように歯を並べるために、定期的な矯正歯科への通院が必要です(概ね月に1回)。手術前の矯正の期間は、通常1~2年です。

その後入院していただき、全身麻酔下で手術し、手術後は1〜2週間の顎間固定(口が開かないように上下の歯をワイヤーで固定)を行います。入院期間は約3~4週間です。

退院後は、矯正装置による歯の微調整(術後矯正)を行います。顎間ゴム牽引(口の中にゴムをかけていただき、上下の歯を引っ張る)を行います。期間は6ヶ月から1年です。

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顎変形症治療

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