口唇口蓋裂 治療の流れ
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口蓋床を用いた出生後早期治療
哺乳の問題は赤ちゃんが最初に直面する問題です。上顎に裂があると口と鼻の遮断がうまくいかず、十分な哺乳ができません。このことはお母さんにとっても、大きな不安となります。そこで「口蓋床」という入れ歯のようなプレートを出生後できるだけ早期から使用します。これで自分で哺乳瓶からミルクを吸えるようになります。哺乳を助け口腔機能の発達を促すとともに、上顎の形態を整える効果も期待できます。
九州大学デンタル・マキシロフェイシャルセンターでは、産婦人科から連絡があれば往診して上顎の型を採り、できるだけ早期に口蓋床を使用するようにしています。産婦人科退院後は口唇口蓋裂外来での哺乳指導を継続します。口蓋床
口蓋床を装着
口蓋床を装着して哺乳
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口唇(鼻)形成術
全身的に問題がなければ2か月から4か月、体重6kgを目安に口唇(鼻)形成術を行います。入院は約2週間で、術後は3ヶ月くらい傷にテープを貼ります。両側性の場合は片側ずつ2回に分けて手術することが多いです。
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口蓋形成術
口蓋形成術は1歳6か月から2歳、体重10kgを目安に行います。この手術は単に裂を閉鎖するだけでなく、発音の機能を獲得させることが重要です。同時に中耳炎の処置(チュービング)をすることもあります。
口蓋形成術前
口蓋形成術後
- 小児歯科・スペシャルニーズ歯科
- 口腔衛生管理・う蝕予防
- 耳鼻咽喉科
- 口蓋裂に関連する耳疾患(滲出性中耳炎)、鼻・副鼻腔疾患の治療
言語療法
赤ちゃんは1歳を少し過ぎるころから少しづつ言葉がではじめ、2歳頃になると反語期になり言葉の数が増えてきます。口蓋形成術前より言語療法室での管理を行い、口蓋形成術後も言語聴覚士によることばの発達を観察し、構音(発音)異常などに対する訓練を行います。
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矯正治療
咬合(咬み合わせ)管理は3歳半頃から始めています。上顎の成長の遅れによる咬合の異常の進行状態を観察してゆくことが重要です。上顎の成長が悪い場合は就学前(5歳頃)に治療を開始することがあります。多くの場合は、上顎の前歯が捻れて生えてきた時から矯正治療を開始します。治療の終了は第二大臼歯を正しく並べ、それを維持するまでの18歳から20歳頃と考えています。
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顎裂部腸骨移植術
顎裂(歯槽骨が欠損しているところ)に犬歯または側切歯が萌出する直前の9歳から10歳の間に腰の骨(腸骨)を移植します。この移植の1年ほど前に上顎の拡大を行います。移植後は1か月から矯正治療を開始します。放置するとせっかく移植した骨が吸収していきます。
治療前
骨移植後
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外科的顎矯正手術/口唇鼻二次修正術
外科的顎矯正手術
骨格的な問題がある場合には手術的に顎を動かして咬み合わせを整えます。
治療の流れについては「顎変形症 治療の流れ」をご覧ください。口唇鼻二次修正術
顔の成長が終了してから,気になる部分を修正する手術を行います。
術前
術後
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治療終了
おおよそ成人するころには治療は終了します。
お問い合わせ(疾患ごとに連絡先が異なります。)
口唇口蓋裂治療
092-642-6450
092-642-6445
顎変形症治療
092-642-6460
障がい者の歯科治療
092-642-6465